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| 野間宗蔵『怪談記』「西村氏、山テテト云者ヲ見ル事」より |
やまてて |
| 鳥取藩の西村何某という鷹匠が、鷹の訓練のために智頭郡の山中に入ったときのことだ。 奥山に小さな小屋をかけて独り泊まり、火を燃やしていたところ、背の高い異様な老人が歩み入って、火に近寄り、顔を炙るようにして暖をとった。頭髪は赤く縮れ毛で、顔かたちは常人のそれではない。猿にも似ていない。衣服はなく裸体で、全身に毛が生えている。手足は人と違わない。 西村が、 「そのほう、何処に住まいするものか」 と尋ねたのに対し、老人は答えず、しばらくすると出て行った。闇夜だったので、どちらへ向かったのか分からなかった。 後日、また来て、小屋をのぞき込んだ。 「今日は火はないぞ」 と言うと、そのまま帰った。 近村の人に聞いたところによると、これは「山父(やまてて)」というものだ。 むこうから人を襲ったりはしないが、こちらが危害を加えようとすると山が大荒れになるという。 |
| あやしい古典文学 No.1998 |
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