松浦静山『甲子夜話』巻之五より

人魂の正体を見た

 夏の夜に、光るものが飛ぶことがある。世間ではこれを人魂だという。
 しかし実は、ヒキガエルが飛行しているのだそうだ。

 本郷丸山の福山侯の別荘で、いわゆる人魂を竹竿で打ち落としたところ、落ちていたのはつねにヒキガエルだった。
 それを見て、人々は正体を納得したのだという。
あやしい古典文学 No.14