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大朏東華『斉諧俗談』巻之五「海坊主」より |
中国名「和尚魚」 |
言い伝えによれば、西国の大海には海坊主というものがいるそうだ。 体がスッポンで、顔は人間と同じである。頭に毛はなく、大きなものは体長一メートル半をゆうに超える。 漁師はこれを見るのを不吉だと嫌う。てきめんに不漁となるからである。 たまたま海坊主を捕らえて、殺そうとすると、手をすり合わせて涙を流し、助けを乞う。そこで、 「おまえの命を助けてやろう。そのかわり、今後けっして、わしの漁の邪魔をするな」 と言うと、海坊主は西に向いて天を仰ぐ。これは『わかりました』というしぐさなので、漁師は海に放してやるのである。 この海坊主は、中国でいう『和尚魚』のことだという。 |
あやしい古典文学 No.49 |
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