佐藤成裕『中陵漫録』巻之十一「馬尾虻」より

馬の尻尾が虻になる

 四月か五月のころ、馬の尻尾を抜いてゴミために置いておくと、日を経て、毛根の部分が蛆になる。さらに時がたつと、虻(あぶ)になる。虻の尻に尻尾がついていて、たいへん奇妙なものだ。
 俗にこれを「馬尾蜂」というが、蜂ではないので「馬尾虻」とすべきである。

 会津では、人の髪を抜いて川の流れに入れておくと虫になる。
 それを俗に「足絡」というが、ほかの国では、類似の話を聞いたことがない。

 なお、馬尾蜂の図は『赫鞭余録』という本に載っている。
あやしい古典文学 No.84