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神谷養勇軒『新著聞集』第四「虎皮牛を纏ひ牛の鳴をなして死す」より |
牛に虎の皮 |
江戸尾張町一丁目の扇子屋が、牛の子を買って、それを頭から足の先まで虎の皮で包んで縫い込め、境町の芝居に出して大いに稼いだ。 啼かすまいとして口を縫い閉じたから、食べることができず、六七日過ぎると死んでしまう。するとまた新しい牛の子に取り替えて、合わせて五六頭にもなった。 そのころから扇子屋は体調を崩し、気分がすぐれない日が続いた。 やがて正気を失い、ただ牛の啼き真似ばかりするようになって、ついに死んだという。 |
あやしい古典文学 No.232 |
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