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大朏東華『斉諧俗談』巻之三「飛頭蛮」より |
飛頭蛮 |
『南方異物誌』という書物には、中国嶺南の渓洞の中に飛頭蛮が棲むとある。 そのうなじには赤い傷痕のようなものがある。夜になるとその痕のところから首が離れて、耳を翼として空を飛び、虫を捕って食べる。明け方にまた戻ってきて、元どおり胴体とくっつくのだという。 また『捜神記』には、呉将軍朱桓という人の下女の頭が、夜になるとよく飛んだということが書かれている。 『太平広記』にも、やはり嶺南の渓洞の中に、ときどき飛頭の者がいると記されている。 頭が飛ぶ一日前に、その者の首筋に痕が現れる。妻子が気づいて見守るなか、夜になるとその者は病気のように意識を失い、たちまち頭が胴体を離れて飛び去る。 頭は夜どおし水辺を飛び回って、蟹・ミミズの類を食べる。 明け方、頭が戻って、本人は夢から覚めたかのごとく正気に返るのだが、その腹はすっかり満ち足りているのだ。 |
あやしい古典文学 No.258 |
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