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橘南谿『北窓瑣談』巻之四より |
蟹だらけ |
安永三年五月二十七日から二十九日にかけて、尼崎の海から小さい蟹がおびただしく川に上り、摂津難波の川々の両岸は、みな蟹に埋めつくされた。 蟹は淀川をさして上ったのであった。 当時、私は難波の伏見堀に住んでいて、手で川の水を汲むと、ひと掬いの中に数十匹の蟹がいた。 その蟹の大きさは豆粒ほどで、色は白く、なかば透明であった。 |
あやしい古典文学 No.266 |
座敷浪人の壺蔵 | あやしい古典の壺 |