山本序周 編『絵本故事談』巻之一「兔走波上」より

うさぎ波上を走る

 うさぎは満月によって孕み、口から子を吐くといわれる。

 陰暦八月の十五夜、うさぎは月光きらめく湖の水面を走り、恍惚のうちに孕む。その夜の月が暗いと、翌年はうさぎの数が少なくなる。
 また一説に、うさぎは雄の体毛を舐めて孕み、五ヵ月を経て口から出産するという。
あやしい古典文学 No.322