『斉諧俗談』巻之三「七難揃毛」より

陰毛が長い

 下総の国の豊田郡石下村に、東弘寺という一向宗の寺院がある。この寺はたくさんの寺宝を所蔵している。
 寺宝の中に「七難の揃毛(そそけ)」というものがある。五色の毛の房で、長さは十数メートル。今に至るも何の毛なのかわからない。近江の竹生島、信濃の戸隠山にも、同様なものがあるとされる。
 言い伝えによれば、むかし一人の怪女がいて、名を「七難」といった。その人の陰毛なのだという。

 『塵塚物語』には、竹生島の七難の揃毛のことが載っている。また、最近刊行された『竜宮船』にも記されている。 
あやしい古典文学 No.332