神谷養勇軒『新著聞集』第六「奥州蛇塚」より

奥州蛇塚

 奥州二本松の塩田郡宮本というところの明神の前で、ある人が一メートル半足らずの蛇を殺した。
 すると、そこに蛇が続々と群れをなしてやって来て、その人の前で自らの腹を食い破っては死んでいった。
 現れては死に、現れては死にして、およそ一万匹ほどの死骸が折り重なった。
 これはただ事ではない。とにかく穴を掘って蛇の死骸をつき込めた。そこは蛇塚と呼ばれて、今も残っている。

 蛇を殺した人の一家は、その後まもなく滅亡した。
 いったいどういうわけで、こんな怪事が起こったのだろうか。
あやしい古典文学 No.383