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菅茶山『筆のすさび』巻之一「熊茄子をいむ事」より

熊は茄子が嫌い
　熊は茄子(なすび)が嫌いだ。
　深山に住む人が薪を取りに行くときは、必ず茄子を携帯する。熊に出会っても、茄子を見せると走って逃げるからだ。

　熊からは熊胆(くまのい)をとる。
　その熊の胆(きも)は、茄子が野に実る時分に小さく、茄子がない時分には大きい。また、不意に茄子を見せて腰を抜かした熊を捕った場合、必ず胆が小さいそうだ。

　熊は馬も恐れる。
　熊が苦手とする馬を狼が殺し、狼は熊に制圧されるわけだが、ものの性質というのは、どうしてこんな関係になるのだろうか。　
あやしい古典文学 No.384
座敷浪人の壺蔵   あやしい古典の壺