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滝沢馬琴編『兎園小説』第十二集「大酒大食の会」より | ||||||||||||||||||||||||||||||||
大酒大食の会 |
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文化十四年三月二十三日、両国柳橋の万屋八郎兵衛方で、大酒大食の会がにぎにぎしく開かれた。 参加者のうち、好成績の者を次に記す。 酒組
菓子組
飯連(通常の茶漬け茶碗による。万年味噌で茶漬けとし、ほかには香の物ばかり)
鰻連(略)、蕎麦組(略) 上に記すうち少なくとも数人については、浜町の小笠原家の家臣某が、その会に行って直接見たので間違いないと言っていた。 人が飲食するにはおのずから限りがあるはずで、これらは大変疑わしいまでの量である。しかしながら、私も自分の目で見たことがある。 以前にお玉が池の縁者の家に立ち寄ったとき、新川の酒問屋の喜兵衛という者が来て、その喜兵衛が水を飲むことにかけては天下第一だろうと自負している様子なので、それではと、一升あまりも入る器に水をたっぷり入れて出したところ、たちまち一息に飲み干して、こう言った。 「今は飯を食ってまもないので、たくさん飲めません。食前ならば、もう一、二杯はたやすく飲めます」 私が目撃したのは、この喜兵衛の水と、九鬼侯の医師の西川玄章が枝柿を百個食ったのとである。大食大飲の人は、そもそも胃腸のつくりが違うのではないかと思う。 |
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あやしい古典文学 No.469 |
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