『斉諧俗談』巻之三「大食国」より

笑う花

 『三才図会』によれば、大食国は西南一千里のかなた、山谷の間にある。
 その国に珍しい樹がある。
 樹の枝に生ずる花の形が、人の首のようだ。

 この花は人語を解する。
 人が話しかけると、ただ笑っている。
 あまり笑わせると、そのまま凋んで落ちてしまう。
あやしい古典文学 No.514