岡村良通『寓意草』下巻より

津山城の猫魔

 美作国の津山の城には、猫魔が多く集まってくる。
 それが夜、宿直(とのい)の者の刀の柄をひどく喰い散らす。
 また、矢倉から黒煙が立つので驚いて駆けつけてみると、まるで火の気がない。これも猫魔の仕業である。

 城では年に二度、猫魔狩りをする。
 体長1メートル半に近い猫魔が、四五十匹ほども獲れるそうだ。
あやしい古典文学 No.516