源顕兼『古事談』巻之一「怪女、丹後ノ國ニ漂着ノ事」より

巨女漂着

 万寿三年の四月ごろ、見知らぬ船が丹後の海岸近くに漂流してきた。
 船には、身長二メートル超、顔の長さだけで六十センチ以上という大女が乗って、食料と酒も積んでいた。

 この船に近づいて女と接触した者は、ひとり残らず病を発して倒れた。
 よって、厳しく見張って着岸を阻むうちに、女は死んでしまったそうだ。
あやしい古典文学 No.601