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荻生徂徠『飛騨の山』より |
蛇飯 |
筑紫まで下ると、蛇を常食とする村がある。 旅人の舟が停泊するのを見るや、村人は争って駆けつけ、米のとぎ汁と米ぬかを貰っていく。蛇の調理に使うためだ。 蛇はふだん地面の穴に飼っておき、朝夕の食事に、鍋に入れて煮る。 鍋の蓋に小さい孔が幾つも開けてあって、蛇が煮られる苦しさに無理やり頭を出すと、それを掴んで引っ張る。すると骨が頭とともに抜け出て、肉だけ鍋の中に残る。 鍋に残った肉を、さらに米ぬかととぎ汁で煮込む。 頭と骨はもとの穴に捨てる。月日を経てまた肉がつき、元どおりの蛇になる。それを何度も喰うのだ。 わが国の中でも、土地により、こんな変わった風習があるとは驚きだ。 |
あやしい古典文学 No.651 |
座敷浪人の壺蔵 | あやしい古典の壺 |