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根岸鎮衛『耳袋』巻の四「女の髪を食う狐の事」より |
女の髪を喰う狐 |
世間の噂では、女の髪を根元から切る事件が続発しているらしい。「髪切り」といって、怪談の一つとして語られている。 その中には、恋人のある娘が両親・親類のすすめる縁談を嫌って、怪談にことよせて自分の髻(もとどり)などを切るという、贋物も多い。 しかし、狐狸の仕業にちがいないものもあるという。 松平京兆の知行所では、髪を切られた女が三人いた。 その後、野狐を捕殺して腹を割いたところ、腸内に女の髻が二つまであった、と。 ただの噂とも真実とも、一概に言い切ってしまえないということか。 |
あやしい古典文学 No.719 |
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