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厚誉春鶯『扶桑怪談弁述鈔』巻之三「勝鬼塚言語」より |
勝鬼坊 |
豊前ノ国 彦山の山伏に、勝鬼坊という者がいた。 天正年間のこととかいう。勝鬼坊は罪に問われ、山伏の掟によって石子詰(いしこづめ)の刑に処せられた。 その生き埋めの塚は、道の傍らにある。 通りかかった人が憐れんで一遍の念仏を唱え、回向をなすと、勝鬼坊は地中で法螺貝を吹き鳴らし、 「ありがとう、ありがとう」 と礼を言う。 処刑が行われたのは随分な昔なのに、今も律儀に答礼するとのことだ。 |
あやしい古典文学 No.782 |
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