津村淙庵『譚海』巻之九より

出羽の猿猟

 出羽の国の猟師は、猿を見つけると犬をけしかける。追われた猿が樹に登ると、犬は下で見張っている。
 猟師が来て、竿で樹上の猿を払い落とし、地に落ちた猿は犬に捕られる。
 猟師は捕らえた猿の皮を剥いで、傍らに放置しておく。猿は、おのれの剥がれた皮を見て涙を流すという。
 やがて猿を炙って喰らい、皮は衣服にして着る。冬場には格別に暖かなものだそうだ。

 なんとも可哀想な話である。
あやしい古典文学 No.793