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濱松歌國『摂陽奇観』巻之二「登保志の白馬」より |
幻の白馬 |
摂津国の茨木あたりに、登保志という墓地がある。その近辺で、雨の夜になると必ず、白い馬が出るそうだ。 大きさは子牛くらいで、絵に描かれた羊のように白い毛がもじゃもじゃと全身に生え乱れている。顔も毛に覆われて、どんな様子かよく分からない。 ある気の強い人が、馬の脚を捕らえようとしたが、空を掴んだだけだった。棒などで打ち叩いても、幻のごとく手ごたえがなかった。 そんな怪しい馬だが、人を害したという話は聞かない。 時おり街道に寝ていることもあって、往来の人がまたいで通るけれども、足に毛のもじゃもじゃが触れることはない。 結局なんだか分からない化け物ということに決まったと、土地の者の話である。 |
あやしい古典文学 No.881 |
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