鳥山石燕『今昔百鬼拾遺』上巻より

古庫裏婆

 僧の妻を「梵嫂(ぼんそう)」というと、中国の書『錣耕録』に書かれてある。
 
 ある山寺では、七代前の住職が愛した梵嫂が庫裏に住んでいて、檀家の納める米銭を盗み、新たに葬られた屍体の皮を剥いで食べるという。
 三途の川の「奪衣婆(だつえば)」よりも恐ろしい。
あやしい古典文学 No.1003