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浅井了意『新語園』巻之八「狗化死霊来 捜神記」より |
死霊の帰宅 |
中国の東莱(とうらい)で、李徳という人が病気で死んだ。 埋葬に先立って棺を安置し、弔っていると、その祭所の床に李徳の姿が現れた。衣服の色といい物言う声といい、顔形も動作も、すべて生前と同じだった。 李徳の霊は、妻と子に向かって、子孫の行末を案じ、家政の執り方を指示して訓戒を垂れた。みな筋が通っていて、ひとつも道理に外れたところがなかった。 召使たちに向かっては、勤めに励むよう勧め、過ちがあれば咎めた。どれもこれも、もっともなことだった。 霊はその場に三、四日とどまっていたが、だんだんと食に飽き、酒にも酔い過ぎて、 「もはや冥界へ帰るぞよ」 と言うと、泣きながら去っていった。 家人も、それぞれに名残を惜しんだ。そのさまは、また新たに李徳が死んだかのようだった。 四、五ヶ月後に、また李徳の霊が来て、酒を飲むなどした。 したたか飲んで酔いつぶれたのを見れば、年老いた犬だった。 家人は驚いて、皆で打ち殺した。それは、同じ村の酒屋の犬だった。 |
あやしい古典文学 No.1027 |
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