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喜多村信節『ききのまにまに』より |
猫娘@牛込 |
牛込横寺町の長五郎の店子に、屋根葺き職人の清吉という者がいる。妻はきん。娘のまつはきんの連れ子で、清吉の実子ではない。 まつは当年十一歳。気質が尋常でなく、つねに塀・垣根・屋根などにかけ上がり、また縁の下へ潜っては鼠を捕らえて喰う。鰯の頭や内臓も好んで喰い、犬を恐れる。その振る舞いは、何より猫に似ている。 去年の九月、音羽町あたりの尼法師の弟子になったが、いっこうに行状が変わらないため、この五月に家へ戻された。 あいかわらず両親の目を盗んで屋根へ上がったりして、厳しく叱っても全くきかないという。 |
あやしい古典文学 No.1054 |
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