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下津寿泉『怪妖故事談』巻之四「人化シテ虎ニナル事」より |
虎になる |
中国の書『淮南子』には、牛哀という者が病んで七日目、虎と化して、その兄を打ち殺したと書かれている。 『郡國志』によれば、藤州にすむ蛮人は、しばしば「貙(チュ)」という獣に化す。その獣は小さい虎のようで、五本の指を持つという。 『博物志』によれば、江漢には「貙人」がいて、よく化して虎になるらしい。 『唐書』にいわく。 武后の時代、一人の者が病んで虎に化したが、暴れだす前に捕らえて事なきを得た。すでに虎の毛が生えていたという。 また、憲宗の元和二年、商州の者がにわかに虎になりかけたが、周囲の人がいっせいに水を浴びせて妨害したので、とうとう虎になれなかった。 『広州記』にいわく。 湞陽県の里人に齢十五六になる子があって、毎日牛の世話をしていた。牛はつねにその子を舐めた。舐められると、とても気持ちがよかった。そうするうち、舐められた箇所が全て白くなり、突然その子は病に倒れて死んだ。 父親は牛を殺して、肉を客人にふるまった。その牛を食った男女二十数人は、ことごとく虎と化した。 |
あやしい古典文学 No.1066 |
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