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『榻鴫暁筆』第十「肉■駝山」より |
肉塊山 |
昔インドの某国に、強欲な僧侶がいた。他人の財産をあの手この手で我がものとし、溜め込むばかりで、人のためになることは何一つせず、仏道の修行も行わなかった。 この僧侶は、死んでから、広さ数十里に及ぶ肉塊の山になった。国中の人が、毎日その肉を切り取って食った。切られたところには、また肉が生ずるのだった。 あるとき、隣国の者が来て肉を取ると、山は激怒して大声で叫んだ。隣国の者が、なぜ怒るのかと尋ねると、山は答えた。 「我は、かつての僧侶某である。この国の人の数多の財宝をむさぼり取って施すことがなかったため、今、肉の山となって罪を償っている。しかし、おまえは他国の者で、肉を食わせるいわれはない。だから怒ったのだ」 |
あやしい古典文学 No.1068 |
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