山口幸充『嘉良喜随筆』巻三より

吸血狸

 狸は、草原の広がった山でのみ暮らし、見通しが悪い樹林は警戒して避ける。洞穴を棲み処としている。
 狸は、犬をたぶらかして思いどおりの場所に誘い込み、血を吸って放り出す。首か前足の付根に穴を開けて、一滴残らず吸い取るのだ。
あやしい古典文学 No.1104