『本朝語園』巻十之上「筑摩祭」より

鍋の数

 近江国坂田郡の筑摩神社では、四月一日に神事がある。
 昔はこの祭の日、女が、交わった男の数だけ鍋を頭にかぶって練り歩いたそうだ。
 拾遺集に歌がある。

 近江なる筑摩の祭とくせなむ つれなき人の鍋の数見ん
 (近江の筑摩神社の祭を早くやってくれ。つれないあの子の、鍋の数が見たいんだ。)
あやしい古典文学 No.1206