『語園』上「王喬鳬ニ乗事 後漢書」より

かも男

 中国、漢の顕宗帝の時代のこと。
 王喬という人が、毎月一日と十五日に、必ず朝廷にやって来た。どこから、どのようにして来るのか、だれも見た者がなかった。
 帝はこれを怪しみ、究明するよう命じた。

 家臣が物陰から密かに窺っていたら、一羽の鴨が空の彼方から飛んで来た。
 そこで、急いで網を張り、行く手を遮ったところ、網にかかって落ちた。
 駆けつけてみると、一足の履(くつ)があるばかりだった。
あやしい古典文学 No.1257