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『古今著聞集』巻第十七「出雲國の黒島…、出雲國…氷塔出現の事」より |
天慶年間、出雲国の怪事 |
出雲国秋鹿郡の北の海に、黒島という小島があって、磯辺には海藻などが多く生えていた。 天慶三年十二月上旬、その黒島が、にわかに消え失せた。 跡には巨大な石が、数知れずそそり立っていた。 翌天慶四年の正月下旬、やはり出雲国の海岸で、夜、鉾(ほこ)を打ちつける音が聞こえた。 明けてみれば、島根郡の境から楯縫郡の境まで、氷を重ねて造った塔が、ずらりと立て並べられていた。それぞれ高さ十メートル、周囲が二メートルあまりの氷塔だった。 やがて消え失せたのだが、何ものの仕業とも知れぬ、恐ろしい出来事であった。 |
あやしい古典文学 No.1269 |
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