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浅井了意『新語園』巻之五「王伯陽ガ墓」より |
墓争い |
中国の東晋の時代、京口に住む王伯陽という者が病気で死んだ。 伯陽の息子が、墓を築こうとして地面を掘り、思いがけず棺を掘り出した。そこはかつての呉の名将、魯粛という人の古墳だったのだ。 しかし息子は、魯粛の棺を除いて平らにならし、伯陽の亡骸を埋めて木を植え、墓所となした。 その夜、息子が墓のほとりに臥していると、夢に魯粛が現れ、 「おまえの父親が、我が墓地を犯した。あいつをかならず殺すから、そう思え」 と大声で怒った。 続いて伯陽が来て言った。 「魯粛とわしと、墓を争うことになった。負けたらどうしよう……」 息子は目覚めて、父の霊座の上に数升の血がこぼれているのを見た。きっと魯粛が、伯陽を追い討ったにちがいなかった。 その墓は、長広橋の東一里に今もあるということだ。 |
あやしい古典文学 No.1281 |
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