古賀侗庵『今斉諧』巻之三「宇賀神」より

宇賀神

 回向院の祭礼に、ある商人が「宇賀神(うがじん)」を見世物に出し、人気を取って大いに稼いだ。

 この神は、干からびた骸のようなもので、人頭蛇身である。
 口鼻はあって耳がなく、頭髪は赤色、枯燥して黒く煤けた肌膚に毛が少々生えている。腹の中は空洞で、ただ体の外殻があるのみだ。
 筆者の友人の満野順ほか、皆々見物したという。
 これは『山海経』にある「燭陰」ではないか、とも言われる。
あやしい古典文学 No.1328