『古今著聞集』巻第八「宮内卿、男疎遠になりける時和歌を詠む事」より

おばすて山

 女流歌人として知られる後鳥羽院宮内卿は、甥にあたる人と浮名を流したことがあった。
 やがて二人の仲が疎遠になってしまったとき、歌を詠んだ。

都にもありけるものを更級や はるかに聞きしおばすての山
 (姨捨山は遠い信濃更級にあると聞いたけど、この都にもあったのか。叔母のわたしを捨てる気ね)
あやしい古典文学 No.1332