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下津寿泉『怪妖故事談』巻之二「暴ニ肥大ニナル事」より |
巨体化する病 |
中国に、皇甫及(こうほきゅう)という少年がいた。父親は太原というところの役人で、息子をたいそう可愛がっていた。 及は、生まれてこのかた尋常な子だったが、十四歳のとき突然、異病を発した。 その病気というのは、皮肉を切り裂くような痛みや、骨に徹する苦しみがあるわけではない。ただ、にわかに巨体と化したのだった。 わずか二時間あまりのあいだに、身長は二メートルをゆうに超え、胴囲も数倍に肥え太った。その後の飲食の量は、かつての三倍になった。 翌年の秋、なにが原因ということもなく死んでしまった。 |
あやしい古典文学 No.1368 |
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