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竹原春泉『絵本百物語』巻二「出世螺」より |
出世ほら |
深山には、ほら貝が棲む。それが山で三千年、里で三千年、海で三千年を経て、荒ぶる龍となる。これを「出世のほら」という。 昔からあることで、遠州の今切の渡しも、ほらが抜け出たために崩壊した崖の跡だとされる。 ほら貝の肉を食えば長寿を得る、などという。 山伏がほら貝の殻を吹いているからには、その肉を食った人もあるだろう。しかし、食ったせいで長生きした人というのは聞かないし、そもそも災害をもたらすものを食ってまで長生きしたがるべきでない。 嘘をつくのを「ほらふく」というのも、こうしたところから出来た言葉ではあるまいか。 |
あやしい古典文学 No.1388 |
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