『妖怪門勝光傳』より

モモンガ

 モモンガは、蝙蝠の年経たものらしい。暮れ方以降に出て、人の顔にまといつき、鼻から血を吸う。
 もしモモンガにまとわれたら、息を止め、小刀を顔とモモンガの腹の間に差し入れて、向こうへ突くのがよい。慌ててむやみに引き剥がそうとしても、剥がれるものではない。息をすると、すぐに血を吸われるので、まずは息を止めることだ。
 また、うつむいて突くことが大切だ。うつむきようが足りないと、モモンガの血をまともに顔に受け、その血が口に入ってしまうかもしれない。もし悪病の人の血を吸って間もないモモンガだったら、病に侵される危険がある。
あやしい古典文学 No.1408