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楫取魚彦『喪志編』より |
火鏡 |
イタリアは、紅毛の国々の南の方にあり、スセリアという火山島を属国とする。 スセリアの人は、天文学にたいそう詳しい。太陽光が作る影によって時間を計測する道具「時計」の類は、この国で創始されたと聞く。 ほかにも、精巧にして優秀な道具が多く創られている。 かつて敵船数百艘がスセリアを襲った。そのとき人々は、直径数メートルの「火鏡」を何基も高い丘の上に据え、太陽光を受けて敵船に映射した。光はたちまち火を発して、数百艘が一時に灰燼に帰したという。 |
あやしい古典文学 No.1412 |
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