岡村良通『寓意草』下巻より

玉々

 百足の玉は、夜ごと光って物を照らす。
 牛の玉は、常に温かい。

 昔、上野の宮の床下から、狐の毛を丸めた玉が二三百個も出てきた。
 近頃の話では、常陸国の玉造というところで、渡辺長七という者の家に、毛の生えた玉が二つある。狐が持ってきたものだという。黄色くて少し黒っぽい。また、常に温かである。
あやしい古典文学 No.1405