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平賀蕉斎『蕉斎筆記』巻之三より |
処刑法 |
近ごろ大阪の町奉行を務める山口丹後守は、宇和島候の別腹の弟である。 最近訴えのあった事件に、屋根葺き職人が誤って屋根から落ち、運悪く下にいた子供が圧死したというのがあった。 子供の親たちが、 「屋根葺き職人を、人殺しとして処刑してほしい」 と願い出たのに対し、奉行は、 「わざとしたことではない。あくまで不運な事故なのだから、勘弁してやってはどうか」 と諭した。 それでも、親たちがとやかく言って承引しないので、 「ならば殺人として扱って、死刑にする。処刑の仕方は、屋根葺き職人を屋根の下に置き、子供の親が屋根の上から転げ落ちて、圧死せしめるものとする」 と判決した。 訴え出た者たちは当惑し、願いを取り下げたそうだ。 |
あやしい古典文学 No.1417 |
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