『語園』上「葛玄蜂ヲ吐事 列仙傳」より

蜂を吐く

 葛玄(かつげん)は、中国、三国時代の呉の人である。
 食事を共にした客が、
「何か一つ、不思議を見せてくれ」
と頼むと、葛玄は口に含んだ飯粒を、ぶっと吐き出した。
 飯粒はみな蜂となって、客の体にびっしりとたかった。しかし、客を刺すことはなかった。
 葛玄がまた口を開けると、蜂はみな飛びかえって、もとの飯粒になった。
あやしい古典文学 No.1469