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平尾魯遷『谷の響』三之巻「陰鳥」より |
陰鳥 |
陸奥国津軽郡目屋ノ沢の砂子瀬村と河原平村の両村で、毎年四、五月の小雨降る寂しい夜に、清く澄んだ声で
カン! と鳴き、また続いて キン! と鳴く。その声はたまらなく物凄く、寒気立つばかりである。 また、この両村には、夜の更けたころに「オヒトゴヒト…、オヒトゴヒト…」と囁きかけるものがある。これも物凄いことこのうえない。 この二つは、鳥の声だと言われる。 しかし、どんな姿かたちの鳥なのか、土地の者でも、昔から今に至るまで、一人として見た者がないそうだ。 また、この両村以外の地にはいないものらしい。 |
あやしい古典文学 No.1514 |
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