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渡邊政香『今昔参河奇談』「井田燐火」より |
魂魄野 |
『三河後風土記』に言う。 延徳二年二月二十日、松平親忠は兵八百四十余人を率いて、織田信秀の兵千五百余と、井田野で戦って勝利し、首級六百五十三を得た。 戦いののち井田野では、討ち死にした敵味方の霊魂が、不意に大勢で「ワァーッ」と叫び声をあげるようになった。そのほかにもいろいろな怪異があった。 そこで人々は骸骨を拾い集めて、三河国浄土宗大樹寺に大きな穴を掘って埋め、山のごとく土を盛って「千人塚」と名づけた。 また、このような怪異があるゆえに、井田野を「魂魄野」と呼ぶようになった。 |
あやしい古典文学 No.1521 |
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