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| 藤岡屋由蔵『藤岡屋日記』第六十六より |
戸田鎌次郎の幽霊 |
| 大御番 津田美濃守組 戸田栄次郎方に、家付きの弟 戸田鎌次郎という当年三十二歳になる者があった。 栄次郎は、戸田家に養子に来て家督を継ぎ、放蕩者の鎌次郎を弟として扶養していたのである。 先年、鎌次郎は田付四郎兵衛の娘と密通して子を産ませ、その後もますます放蕩にふけった。 もてあました栄次郎は、安政四年十二月八日の夜、弟を絞め殺した。 病死届を出して事は片付いたかのようだったが、十四日の夜から毎夜毎夜、鎌次郎の姿が現れ、 「お願い申す、お願い申す…」 と言いながら、縁側を夜通し歩いた。 これを恐れて、下男下女はみな屋敷を去ったとのことだ。 |
| あやしい古典文学 No.1541 |
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