『妖怪門勝光傳』より

川天狗

 川天狗というものがある。川に棲んでいて、漁をする人が出くわすことがある。
 鉄類を外から見えるようにして持っていると、川天狗は寄ってこない。天狗はみな鉄を嫌うものだが、川天狗は特に嫌う。だから、針ほどのものでも頭に差しておくとよい。そうすれば、遠くから脅してくることはあっても、寄ってはこないから安心だ。
 なお、大小を差している人には、刀身は見えなくても、刀の鍔(つば)に臆して近寄らない。
あやしい古典文学 No.1557