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林羅山『怪談全書』巻之四「陰摩羅鬼」より |
屍の鳥 |
中国の宋代、鄭州に崔嗣復(さいしふく)という人がいた。 崔はある日の夜、とある郊外の寺に赴いた。 法堂に上ってしばし休息し、眠り込んでいると、突然、崔を叱する声がした。 驚いて起きて見れば、鶴の形をした鳥がいた。色は黒く、眼が灯火のごとく燃え輝き、羽を震わして高く荒々しく鳴いた。 崔は驚いて廊下へ逃れ、物陰から様子を伺うと、怪鳥はたちまち消え失せた。 翌朝、夜の出来事を寺僧に語ると、僧は答えて、 「ここにそのような化け物は棲んでおりませんが…。ただ、十日ほど前、死人が葬送されてきて、仮置きしました。もしかしたら、それかもしれません」と。 崔は都に帰って、開宝寺の僧に尋ねてみた。その答えは、 「『大蔵経』によれば、新しい屍の気が変じて怪をなすもので、これを陰摩羅鬼(おんまらき)という」と。 |
あやしい古典文学 No.1688 |
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