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| 渡邊政香『今昔参河奇談』「蛟龍嘯吟」より |
山中で鳴くもの |
| 『古老伝』によれば、正徳年間、吉田宿の人が設楽郡薗目村の長泉寺へ行ったとき、山中でヒュ〜ヒュ〜と鳴く声を聞いた。 何だろうと木を分けて見れば、六七尺の蛇が木に登って口を開け、空に向かって鳴いているのだった。 不思議に思ってしばし見入っていると、にわかに周囲が黒雲で覆われ、闇夜のようになって、時ならず風吹き荒れ、雷鳴まで轟いた。 ようよう寺にたどり着き、このことを語ると、寺僧が言うには、 「それは蛟龍(こうりゅう)です。このあたりでは、よくそんなことがありますよ。あなたは早く立ち退いたから、難に遭わずにすんで幸いでした」と。 |
| あやしい古典文学 No.1713 |
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