木崎タ窓『拾椎雑話』巻十より

火傷に小便

 火傷といっても軽症ならば治療はどうとでもなるが、重症の場合、小便療法にまさるものはない。

 ある人の話によると、鍛冶屋の子供が炉に転げ落ちて大火傷を負い、激痛で声も立てられない状態だったとき、ただちに小便をかけ、小便を飲ませたところ、痛みが止んでものを言い始め、やがて問題なく快気した。
「まったく小便は大した薬であるから、人々はよく心得おくべきだ」と、その人は言った。
「古い小便はよくない。新しい小便を用いること。高いところから落ちた打ち身にも、小便を飲ませるのがよい」とも言った。
あやしい古典文学 No.1743