西田直養『筱舎漫筆』巻之六「スッポンをくふ心得」より

スッポンの骨が出る

 薩摩藩の留守居役の話によれば、かの藩のある侍は、スッポンを大変好んで食い、骨さえも食らった。
 時を経て、眼の下の皮を内側から突いて出るものがあった。引き抜いてみるとスッポンの骨だった。
 さらに眼の中からも出た。腕にも出た。はては横腹から出て、そのときひどく苦しんで死んだそうだ。

 どんなに好きでも、骨は残すべきものだ。
あやしい古典文学 No.1771