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岡村良通『寓意草』下巻より |
竜巻 |
遠州掛川に、母方の縁者で、西尾源兵衛という人がいる。 その人が幼年のころ、河原に出て遊んでいると、空からにわかに竜が下りてきて、川水を巻き上げた。源兵衛も一里もの高さにまで、雲に包み込まれて上った。 その後、三里ほど離れた場所に、雨とともに降った。心身の傷んだところは少しもなかった。「あたり一面ひどく暗くて、ただ夢のような心地がした」と語った。 先年の卯月あたり、江戸に大きな霰(あられ)が降ったとき、橋本阿波守の家の庭に、鞍を置いた馬が降った。 腰を打って怪我をしており、公儀にも報告したうえで、療治を加えつつ飼うことになった。 これも竜がまきあげたものであろう。 |
あやしい古典文学 No.1773 |
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