『続怪談録』「蛇体になった女」より

蛇体になった女

 藤生中之浜の女が、天保五年十二月二十日より乱心した。
 二十六日の夜には人相が変わり、全身に鱗が生えて、真夜中の海に飛び込んだ。
 飛び込んだが、また陸に上がってきた。
 今度は町へ行くと言って駆け出し、引き留めるようとする人に噛みつくなど、いろいろと暴れた。
 ようよう家に連れ帰り、手かせ・足かせで繋いでおいたところ、大晦日の夜に死んでしまった。
あやしい古典文学 No.1793