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朝日重章『鸚鵡籠中記』元禄二年十二月より |
機転の泥棒 |
元禄二年十二月十日過ぎのことだ。 駿河町の小家で女が一人、機を織っていて、ちょっと隣へお茶を飲みに出かけた。 この留守に泥棒が入った。狭い納戸に入り込み、衣服などを物色していたとき、女が帰ってまた機を織りはじめた。 泥棒は納戸から出られなくなった。どうしたものかと思案の末、女の櫛箱から紅やおしろいを取り出し、それを顔に塗りたくってニュッと出たから、女は仰天して気絶した。 そのすきに泥棒は、物を盗んで逃げた。 |
あやしい古典文学 No.1827 |
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